医療機器プラスチック部品製造専門メディア Mediプラメディア » 医療機器のプラスチック部品の種類 » 医療用スパイク

医療用スパイク

点滴を使用する際、看護師がはじめに輸液バッグやガラスボトルのゴム栓に突き刺す鋭利なプラスチック部品が医療用スパイクです。

薬液を患者へ導くための最初の入り口となるため、スムーズにゴム栓を貫通する鋭さと、液漏れを起こさない密閉性が求められます。また、穿刺(せんし)の際にゴム栓を削り取ってしまい、その破片が薬液に混入するコアリングという重大な医療事故を防ぐため、プラスチック成形において極めてシビアな寸法精度と先端形状のコントロールが要求される重要な部品のひとつです。

医療用スパイクの構造と役割

医療用スパイクは一見すると単純な針のように見えますが、内部には機能を満たすための高度に計算された構造を持っています。

先端部は、硬いゴム栓をスムーズに押し広げて貫通できるよう、鋭く斜めにカットされた特殊な形状です。穿刺時の抵抗を最小限に抑える役割を担います。

液道は、ボトルやバッグに入っている薬液を点滴筒へ導くためのメインとなる管です。

空気穴は、ガラスボトルなど自然にしぼまない容器で点滴を行う際、薬液が落下した分だけ容器内に空気を送り込むための独立した管を指します。通常、エアフィルターと接続して使用する経路です。

医療用スパイク製造に適したプラスチック(樹脂)素材

医療用スパイクは、硬いゴム栓に対して強い力で真っ直ぐ押し込んで使用する器具です。そのため、穿刺時に先端が潰れたり、シャフト部分が折れ曲がったりしないよう、高い剛性を持つ素材の使用が不可欠です。

プラスチック(樹脂)素材の代表例として、優れた剛性と耐衝撃性に加え、成形加工のしやすさを兼ね備えたABS樹脂が挙げられます。ディスポーザブルの輸液スパイクとして広く普及している標準的な素材です。

また、ABS樹脂を上回る機械的強度と耐熱性を持つポリカーボネートも採用されます。より強い穿刺力が求められる特殊な輸液セットやオートクレーブ滅菌処理が必要な製品に適した素材です。

そのほか、非常に硬く先端の鋭利さを出しやすいポリアセタールが、一部の特殊なスパイク製品に使用されるケースもあります。

医療用スパイクの製造・加工法

医療用スパイクの製造・加工においては、細径コアピンを用いた射出成形が一般的です。スパイク内部に液道とエアー道という2つの独立した細い中空トンネルを同時に形成するため、金型内に極細のピンを配置して樹脂を流し込みます。

また、スパイクと点滴筒を一体化させる工程では、接着剤によるコンタミネーションを防ぐために超音波溶着による接合が用いられます。さらに、チャンバーの成形時にスパイクをあらかじめ組み込む一体成形など、生産効率を高める自動化技術も実用化されています。

医療機器のプラスチック部品を製造する
おすすめ3社

医療用スパイク製造で成形メーカーに求められる3つの技術

医療事故を防ぐ先端のバリレス成形

スパイク成形において最も警戒すべき欠陥が、先端部や側面の穴に発生する微細なバリです。バリが残った状態でゴム栓に突き刺すと、バリが刃物のようにゴムを削り取ってしまい、その破片が異物として患者の血管内へ流入するリスクが生じます。

こうした事故を防ぐためには、金型の合わせ面の精度をミクロン単位で調整し、後加工に頼らず成形段階でバリの発生を抑えるバリレス成形の技術力が、成形メーカーを選定する際の絶対条件となります。

強い力で押し込んでも折れない剛性設計

ゴム栓へスパイクを穿刺する際、斜め方向に力が加わることがあります。このとき、樹脂が金型内で合流する部分の強度が不足していると、根本から折損して薬液が飛散する原因になりかねません。

そのため、極細の金型ピンに対して高い射出圧力がかかってもピンがしなったり倒れたりしない樹脂流動コントロールと、十分な強度を担保する製品・金型設計のノウハウが要求されます。

クリーン環境における自動化・量産体制

医療用スパイクは輸液セットの重要部品であり、毎日膨大な数が消費されます。高い寸法精度を維持しつつ、一度の成形で数十個を生産できる多数個取り金型での安定した量産が欠かせません。

さらに、血液ルートに直結する製品であるため、厳格な衛生管理が問われます。ISO 13485などに準拠したクリーンルーム環境下で、成形からエアフィルターの組み込み、チャンバーとの接合までを自動機で一貫生産できる体制を持つメーカーを選ぶことが、品質の安定化とコストダウンにつながります。

まとめ

医療用スパイクは、一見単純な外見ながら緻密な構造を持つ重要な医療部品。高剛性の樹脂を用い、コアリングや折損を防ぐ高度な金型設計、そしてISO 13485準拠のクリーンルームでの自動生産体制が、安全な医療現場を支える基盤となります。

以下のページでは、医療用プラスチック部品の製造に対応する加工・成形メーカーを紹介しています。製造委託先を比較・検討する際の参考にお役立てください。

医療用のプラスチック部品
製造メーカーを見る

医療機器用プラスチック部品の
おすすめ製造会社3社

医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。

若林精機工業
(切削/成形)
  • 大阪のものづくり優良企業2021(※1)
  • サスティナブル品質も担保(ISO9001、ISO14001)
  • 試作品1個から、100~20000の小ロットで丁寧な製品づくり
対応樹脂:18種類
PMMA
ABS
PET
三フッ化
MCナイロン
PE
PP
PVC
PC
POM
PBT
PPS
PEEK
PTFE
PSU
PEI
PESU
PBI
納品実績(一部)
  • 血液検査装置の部品
  • 尿検査装置の部品
  • 人工透析の部品 など

公式HPで品質管理
の体制について見る

電話で問い合わせてみる
9:00~17:00(日祝休)

詳細まとめを見る

ミヤザキ
(切削)
  • 最短発注当日に出荷できる生産スピード
    秘訣は160台以上の工作機械24時間フル稼働
  • 自社倉庫に潤沢な樹脂在庫を常備で即対応
  • 社内の電話オペレーターが迅速に対応
対応樹脂:16種類~
PMMA
PVC
PC
POM
PP
PE
ABS
PTFE
ナイロン
PPS
PET
PEEK
EL-GEF
PL-PEM
UNILATE
PEI
納品実績(一部)
  • 製剤生産用機械の部品
  • 薬の梱包機械の部品
  • 薬の計数測定用の治具部品 など

公式HPで短納期
の体制について見る

電話で問い合わせてみる
9:00~17:00(日祝休)

詳細まとめを見る

南デザイン
(切削/成形)
  • ロット10000、20000は当たり前!航空機などに使用する耐久性の高いアルミ簡易金型で実現する量産体制
  • 自社で金型から作製から行うので、急な設計変更も相談可能
  • 金型は上流工程の煮詰め作業を重要視
対応樹脂:13種類~
ABS
PC
PMMA
PP
PCGF20
PBT
PET
PPO
PA
POM
PPS
POM
NW02
納品実績(一部)
  • 視野計 など

公式HPで量産
体制について見る

電話で問い合わせてみる
9:00~18:00(土日祝休)

詳細まとめを見る

【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325