医療用プラスチックに求める要素には、摩耗や衝撃などに強い「樹脂の耐久性」が重視される現場も多いでしょう。耐久性に優れた樹脂の見分け方や、その種類についてお伝えします。
ひとくちに耐久性といっても、強さの基準は医療現場のニーズや用途によって異なります。そのため、樹脂ごとに「何に強いのか」という特性を知り、適切な素材を選ぶことが大切です。
たとえば、どれくらいの力が加わると変形するか(剛性)、あるいは割れてしまうのか(強度)、表面が傷つきにくいか(硬度)といった点で、プラスチックの耐久性を見極めるのが一般的です。
これを力学的な観点でみると、「引張強度」「曲げ強度」「硬度」といった物性(機械的性質・物性的性質など)から、樹脂の耐久性を知ることができます。
プラスチックの耐久性を調べる際には、樹脂が有する以下の物性が参考になります。
上記の項目を素材ごとに調べることで、樹脂を引っ張ったり伸ばしたりしたときの耐久性、表面の硬さ、衝撃への強さといった耐久性を把握できます。
医療用プラスチックにも使用される樹脂のなかで、耐久性に優れている素材をピックアップして紹介します。
引張強度や圧縮強度、曲げ強度が高く、耐衝撃性にも優れた素材。エンジニアリングプラスチック(エンプラ)のなかで透明な素材で、幅広い産業分野で活躍しています。
ポリカーポネートと同様に、引張強度、圧縮強度、曲げ強度の高い樹脂。引張弾性率に優れ、変形がしにくい素材でもあります。耐薬性もある素材ですが、有機溶剤に弱いところに注意が必要です。
圧縮強度は、プラスチックのなかでトップクラス。引張強度、曲げ強度にも優れています。透明性も非常に優れており、変色や劣化もしにくい樹脂です。硬度が高く傷つきにくいものの、衝撃に弱い点には注意が必要です。
圧縮強度や曲げ強度などバランスの取れた機械的性質が特徴の樹脂です。経年劣化がしにくい耐疲労性に極めて優れているほか、耐摩耗性と耐薬性も高いエンジニアリングプラスチックでもあります。
従来のナイロン樹脂に強度を増して耐久性を高めた樹脂。エンジニアリングプラスチックのなかでも引張強度や圧縮強度、曲げ強度が高く、耐摩耗性に優れています。
引張強さと剛性に長けた素材で、高温環境でも耐久性を維持できるスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)です。耐薬性に優れている点もポイントです。
医療機器に使用するプラスチックは、自社のニーズに合わせて柔軟に対応してくれるメーカー選びも重要です。
プラスチックによっては、使用する環境や薬品などによって耐久性が大きく変わる素材もあります。耐薬性や耐熱性の観点も含めて選ぶことも大事なポイントです。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325