汎用プラスチックのなかでは、軽量で加工性にも優れているポリプロピレン(PP)。その特徴や物性、成形される医療機器部品について解説します。
ポリプロピレンのいちばんの特徴は、軽量なこと。比重は0.91で水に浮かぶ数少ない樹脂です。耐水性にも優れており、医療分野に限らず幅広い産業分野で活用されています。
ポリエチレン(PE)と比べられることの多いポリプロピレンですが、引張強度や透明性などの点ではポリプロピレンのほうが優れています。硬質な樹脂でありながら繰り返し曲げても耐性のある樹脂です。
ポリエチレンと同様に、酸やアルカリ、有機溶剤にも強い耐薬性があり、薬品の容器包装として活用されることが多い素材です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
ポリプロピレンの取り扱いを確認
硝酸や鉱物油などを除き、酸性・アルカリ性・有機溶剤いずれも常温であれば耐性があります。なお、酸化性酸には侵されます。
| 耐酸性 | ◎ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ◎ |
| 有機溶剤 | ○ |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
ポリエチレンよりも機械的特性が高く、引張強度や繰り返し折り曲げに強いことが特徴です。
| 比重 | 0.91 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 280 |
| 破断時伸び(%) | 200-700 |
| 引張弾性率(MPa) | 11-16 |
| 圧縮強度(MPa) | 385-560 |
| 曲げ強度(MPa) | 420-560 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 16 |
| 硬度(ロックウェル) | 90 |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
耐熱温度や荷重たわみ温度は、ともに120℃。ポリエチレンは100℃以下なので、耐熱性もある樹脂といえます。
| 連続耐熱温度(℃) | 120 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 11 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 120 |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
透明性が高いことも、ポリプロピレンの特徴です。この特徴を生かし、注射器のシリンジ、心臓カテーテルコネクター、ディスポシリンジ、ガイドワイヤークリップなど、さまざまな医療機器や用具に成形品が活用されています。
また、手術後の縫合糸にもポリプロピレンを使用しているケースもみられるようです。
ポリエチレンと比べて、どちらがよいか迷われている方がいらっしゃるかもしれません。その場合、さまざまな素材を扱っている樹脂成形メーカーに相談するのも一手です。使用環境や用途などにあわせて提案してくれることもありますから、迷われたときは相談してはいかがでしょうか。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325