ポリカーボネート(PC)は、透明性の高いことから光学分野をはじめさまざまな業界で活用される樹脂です。その特徴や物性、ポリカーポネートで成形された医療機器部品などまとめて紹介します。
ポリカーボネートは、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)のなかで耐衝撃性に優れた素材として、防弾ガラスや航空機器などにも活用される素材です。医療機器や用具でも、強度が求められる部品にはポリカーボネートが使用されています。
吸水性が小さく、また成形収縮が小さい特性のため、寸法安定性がよい素材でもあります。
ポリカーボネートは、エステル結合によって構成される樹脂です。エステル結合はアルカリに弱いという弱点があるため、アルカリ薬品などを使用する場面には適しません。また、酸や有機溶剤も同様に注意が必要です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
ポリカーポネートの取り扱いを確認
酸・アルカリ・有機溶剤いずれも、使用には適さない樹脂です。
| 耐酸性 | △ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | △ |
| 有機溶剤 | △ |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
耐衝撃性では、エンプラでもトップクラスの強さ(※)を誇ります。耐候性もありますが、耐疲労性には弱く脆弱破壊を起こす場合があります。
※参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」2011年時点(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
| 比重 | 1.2 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 600 |
| 破断時伸び(%) | 60-100 |
| 引張弾性率(MPa) | 28.8 |
| 圧縮強度(MPa) | 780 |
| 曲げ強度(MPa) | 960 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 30 |
| 硬度(ロックウェル) | M78 |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
低温にも強く-100℃でも耐える樹脂です。なお、加水分解する樹脂のため、オートクレーブ滅菌など要求の高い殺菌が求められる医療機器には適しません。
| 連続耐熱温度(℃) | 130 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 19 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 130 |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
耐薬性の点でデメリットのある樹脂ですが、人工透析器や酸素濃縮器の部品(フィルターケースなど)、電極カテーテルのハンドル部など、薬品に触れる機会がない医療機器の部品には、ポリカーボネートが活躍しています。
このほか、歯科ブラケット、弁サイザーにも活用されることがあります。
医療機器のプラスチック部品に使われる樹脂は、実に多種多様な素材があります。今まで使用していた樹脂よりも、もっとパフォーマンスのよい樹脂があるかもしれませんので、多彩な樹脂を扱うプラスチック加工メーカーに相談してみるのも一手でしょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325