射出成形は、最も一般的なプラスチック成形方法です。医療用プラスチックにも使われています。しかし、すべての用途に適しているわけではありません。特徴を知って選択することが大切です。ここでは、射出成形のメリット・デメリットを紹介します。
注射器のような仕組みで金型に射出する射出成形は、対応できる素材の幅広さが特徴のひとつです。一度金型を作ってしまえば、材料の分量を調節したり素材を選んだりするだけで、素早く成形できます。医療用機器であれば、医療グレードの部品製造に適した材料に限定されるものの、幅広い材質の選択が可能です。
射出成形は、大量生産に向いている方法です。1サイクルを数秒で完了させられる生産性と、金型を使い続けられることから、材料代の追加だけで、どんどん製品を作ることができます。仕上げ加工の手間もかかりません。生産量が増えると1つの製品の単価は下がります。製造のプロセスを最大化できるという性質から、部品あたりのコストを削減することが可能です。
射出成形に使用されるプラスチックは、耐久性が高いことが特徴です。悪環境や様々な使用状況において、高い強度と耐性があります。亀裂や破損が発生しにくいです。
熱や鈍的力、振動が加わっても、高い耐久性を維持する製造方法です。オートクレーブで滅菌しても、熱に負けないことから、医療用への使用にも耐えられます。
仕上がりの精密さもメリットのひとつです。金型通りの製品に仕上がるため、ミリ単位の精度に対応できます。1mm未満の歯車も製造可能。精度が高いため、単純な形状の製品だけでなく、複雑な形状の製品も対応できます。金型の表面を磨いていれば、ツルツルの仕上げが可能。公差マージンが厳しい医療機器産業でも、問題なく対応できる高い精度を誇ります。
注射器のようにシリンダにプラスチックが送られ、溶かした上でスクリューが押し出す形で金型に射出される仕組みです。金型に注入される際に汚染物質が入り込むリスクが軽減されています。また、材料も汚染物質の侵入に耐えられるため、滅菌する必要もありません。FDA規格など、規定された要件を満たすことが可能です。
製造したい製品に合わせた金型が必要です。金型製作には、時間がかかり、数ヶ月程度かかるケースも少なくありません。一度作ってしまえばその後の生産性は高いですが、金型を作るまでに時間がかかるのはデメリットと言えるでしょう。金型製作には時間もコストもかかるため、少量多品種生産には向いていません。
幅広い製品に対応できるのは射出成形の魅力ですが、どんな形状でも自由に製造できるというわけではありません。対応できる大きさも幅は広いものの、一定以上あるいは一定以下の大きさは作ることができません。肉厚の製品も不良率が高くなります。他の成形方法より自由度は高いですが、完全に自由ということではなく、制約はあります。
射出成形は、プラスチック成形方法の中でも、幅広く使える方法です。対応している材質の幅広さや金型に忠実な精度の高さが大きな魅力。形状もある程度の自由さがあります。金型を作るためのコストと時間がかかるため、少量多品種には向いていません。効率良く大量生産できる成形方法です。精度の高さから、医療グレードの部品製造にも適しています。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325