PEI(ポリエーテルイミド)は、「ウルテム」という製品名で知られるスーパーエンプラです。PEIの特徴や物性、成形される医療機器部品例などの情報をまとめました。
150℃以上の環境でも機械的特性を保持し、耐熱性のある樹脂といえます。熱水にも強く、高温で滅菌を繰り返す必要のある用具に使っても、劣化しにくい点が特徴です。
PEIは非晶性樹脂のひとつです。非晶性樹脂は薬品に弱いといわれますが、PEIは酸・アルカリ・有機溶剤のいずれにも強い傾向があります。なお、塩素化炭化水素や一部の有機溶剤には弱く注意が必要です。
紫外線や放射線にあたっても劣化しにくく、放射線を使用した減菌が必要な用具にも適しています。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
PEIの取り扱いを確認
非晶性樹脂のなかでは、酸やアルカリに耐性のあるプラスチックです。有機溶剤への弱さは、非晶性樹脂に共通しています。
| 耐酸性 | ○ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ○ |
| 有機溶剤 | △ |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
衝撃に弱いのが、PEIのデメリット。耐摩耗性も低く摩耗の多い部品には適しません。
| 比重 | 1.27 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 1260 |
| 破断時伸び(%) | 23 |
| 引張弾性率(MPa) | - |
| 圧縮強度(MPa) | 1200 |
| 曲げ強度(MPa) | 1600 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 31 |
| 硬度(ロックウェル) | 127 |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
連続耐熱温度は150℃、荷重たわみ温度は200℃もあり、高温環境でも性能を維持します。
| 連続耐熱温度(℃) | 150 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 5.6 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 200 |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
高温や放射線に強い特性があるPEIは、医療機器の部品にも適した樹脂です。高圧蒸気滅菌や放射線による減菌を繰り返す必要がある用具に、使われるケースが多くみられます。
PEIは比較的に成形の容易な樹脂ですが、用途や環境によっては別のプラスチックを用いたほうがよい場合もあります。つくりたい成形品に適した素材を選ぶうえでも、幅広い樹脂成形に対応し、品質にも定評な加工メーカー選びも大切なポイントでしょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325