アクリル(PMMA)の特徴や、アクリルで成形された医療機器部品などのプラスチック成形品について解説します。
アクリルの物性(機械的性質)は、圧縮強度、引張強度、曲げ強度に優れ、プラスチックのなかで変形しにくい樹脂という点が特徴のひとつです。
変色や劣化もしにくく、耐候性も高いため紫外線による劣化も防げます。
プラスチックのなかでも光透過性が高く、一般的な無機ガラスよりも透過率が良い樹脂です。
容器などの内部がよく確認できる点も、医療用具に活用される理由のひとつでもあります。
衝撃に弱く、外部から強い力を与えると破断することがあるので注意が必要です。
また、有機溶剤や強アルカリにも弱いので、使用環境や用途にあわせて選定することも大切です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
アクリルの取り扱いを確認
アクリルは酸に強い樹脂ですが、強アルカリや有機溶剤には弱い素材です。
アセトン、ベンゼン、一部のアルコールを使用する場合は注意が必要でしょう。
| 耐酸性 | ○ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ○ |
| 有機溶剤 | × |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」[PDF](https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf)
硬度が高く傷つきにくい樹脂である一方で、衝撃に弱い樹脂でもあります。
| 比重 | 1.2 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 780 |
| 破断時伸び(%) | 5 |
| 引張弾性率(MPa) | 30 |
| 圧縮強度(MPa) | 1220 |
| 曲げ強度(MPa) | 844 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 33 |
| 硬度(ロックウェル) | M100 |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」[PDF](https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf)
耐熱性が低いのが、アクリルの難点。
連続耐熱温度100℃に満たないため、煮沸消毒などには適さない素材です。
| 連続耐熱温度(℃) | 80~90 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 7 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 90 |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」[PDF](https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf)
外科手術で活用される流体の継手や血管塞栓など、医療現場のさまざまな器具にアクリルは活用されています。
また最近では、感染症対策として透明アクリル板を活用する医療機関も多くなっています。
医療機器のプラスチック部品に使われる樹脂素材は多種多様。使用環境や用途など適した素材を選ぶことが大切です。
加工品を依頼する際は取扱樹脂が多いことはもちろん、さまざまな加工に応じられるプラスチック加工メーカーに依頼することも重要なポイントになります。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325