プラスチックのなかで流通量が極めて大きいポリエチレン(PE)。その特徴や、医療機器部品に使われるポリエチレンの成形品について解説します。
ポリエチレンの構造は、他の樹脂よりも簡単な高分子化合物です。このため、化学的にも安定しており耐水性や耐薬品性、防湿性、耐寒性といった特徴を持っています。加工のしやすい樹脂ですから、さまざまな成形品をつくれることもポリエチレンの魅力です。
ポリエチレンを大きくわけると、「高密度ポリエチレン(HDPE)」「低密度ポリエチレン(LDPE)」の2種類があります。いずれも衛生性と低温環境に強いという特徴がありますが、高密度のほうが硬度が高く固い素材が求められるシーンに、低密度は柔らかい素材が求められる場面で使用されます。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
ポリエチレンの取り扱いを確認
発煙硫酸や硝酸などを除き、室温では酸やアルカリに触れても安定した素材です。有機溶剤を使用する場面でも、広く活用できます。
| 耐酸性 | ◎ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ◎ |
| 有機溶剤 | ○ |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
衝撃に強く、耐摩耗性に優れている点も特徴のひとつ。超高分子のポリエチレンでは、その特性が顕著です。
| 比重 | 0.91 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 105 |
| 破断時伸び(%) | 50-1000 |
| 引張弾性率(MPa) | 4-13 |
| 圧縮強度(MPa) | 225 |
| 曲げ強度(MPa) | 70 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 4 |
| 硬度(ロックウェル) | D65 |
株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
低温には強い樹脂ですが、高温になると変形するおそれがあります。とりわけ、荷重たわみ温度は他の樹脂よりも高くありません。
| 連続耐熱温度(℃) | 80 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 13 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 85 |
株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
汎用性が高く、素材自体は無害・無毒の樹脂であるため、医療用でもさまざまな成形品が活用されています。一例を挙げると、ガイドワイヤーケース、心臓カテーテルコネクター、人工関節摺動部材、処置具シースなどがあります。
ポリエチレンは加工しやすい素材ですが、高温に弱く耐候性に乏しいなどのデメリットもあります。医療機器のプラスチック部品を依頼する際には、こうしたデメリットを抑えた高品質な成形品を納品してくれる、品質面にこだわりのある業者を選定することも大切です。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325