こちらの記事では、電気絶縁性に優れた医療用プラスチックをご紹介しています。それぞれの特徴や医療業界ではどのようなところで使用されているのかをまとめました。
電気を通しにくい性質を絶縁性といいます。物質は「導体」「絶縁体」「半導体」の3つに分類されていますが、「導体」は電気抵抗率が低い物質、「絶縁体」は電気抵抗率が大きい物質、「半導体」は導体と絶縁体の中間程度の電気抵抗率を持つ物質を指しています。
この3種類のうち絶縁体は、電気の流れを遮断して漏電を防げます。実際に使用されている事例としては、電線の被膜材が挙げられます。これは、漏電を防ぐことによって、電気の効率的・安全な輸送につなげています。また、通電による周波数の乱れなどが精度に影響することがある医療機器などにも用いられています。
ポリイミドは、電気絶縁性や耐熱性、機械特性、耐薬品性などに優れている樹脂。民生機器や自動車、航空宇宙まで幅広く用いられています。
ポリイミドとは、「イミド結合」を持った高分子の総称となっており、樹脂の中でも非常に高い耐熱性や機械的な強度を持っている点が特徴です。また、絶縁性が高いことに加えて熱膨張係数が低い点もポイントであり、樹脂の中では金属に近い性質を持っています。
この点から、フレキシブルプリント基盤の機材や電子回路の絶縁材料として用いられています。
ポリイミドは、薄肉成形が可能な医療用プラスチックであることから、心臓カテーテルのシャフトに用いられています。また、その絶縁性を活かして、電極カテーテルのインナーチューブにも用いられています。
もともと1930年代のスイスで、歯科医療用として開発された、分子内にエポキシ基を持つ化合物を指します。
接着剤やオーティング材、塗料、電子部品など幅広く用いられています。
エポキシ樹脂の特徴は、加熱で硬化する熱硬化性樹脂である点です。また、エポキシ樹脂は優れた特性を持っていることから耐熱性や接着性、機械的強度、電気絶縁性、寸法安定度、耐薬品性といったような特徴を持っています。さらに分子量の調整によって、液体から固体までさまざまな性質に変化するため、多岐にわたる用途に使用できます。
医療分野において、エポキシ配合樹脂を透析針や麻酔針、翼状針など注射針の固定に使用されている事例があります。エポキシ配合樹脂は耐久性が高いことから、滅菌処理にも対応が可能となっています。
ポリテトラフルオロエチレンは、フッ素原子と炭素原子で形成されるフッ素樹脂であり、1938年に米国のディポン社の研究員が発見したものです。
ポリテトラフルオロエチレンの特徴は、耐薬品性、フッ素水素の酸化や摩擦、高温、寒さに強く、さらに撥水性にも優れている点などが挙げられます。特に耐薬品性が高く、高温・高濃度の強酸・アルカリ性の薬品に触れたとしても、ほとんど溶けることがないとされています。
通常樹脂は熱や酸などの英教祖受けると破壊されてしまいますが、ポリテトラフルオロエチレンはフッ素と炭素が結合していることから、他の物質と比較した場合に熱・薬品に強いという特性を持っています。
高い耐薬品性などの特徴を活かすことにより、医療業界でも幅広く使用されています。具体的には、注射器や薬品ボトル、人工血管、人工心臓などのパーツの一部として用いられています。成形加工が難しい物質ではあるものの、優れた特性を活かしてさまざまなところで活用されています。
こちらの記事では、電気絶縁性の高い医療用プラスチックを紹介してきました。電気絶縁性の高い医療用プラスチックには、本記事でご紹介したポリイミド、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどがありますので、それぞれの特徴を把握した上で、適した医療用プラスチックを選んでください。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325