カテーテルとは、医療用に用いられる柔らかい管のことです。血管や消化管、尿管、あるいは胸腔・腹腔といった部位へ挿入し、体液の排出や薬剤・造影剤の注入などに使用されます。
以前は天然ゴムや金属製のものが使われていましたが、現在では患者の身体への負担を抑えるため、柔軟性や生体適合性に優れたプラスチック(樹脂)製の使い捨てカテーテルが主流となっています。
カテーテルは単なる一本の管ではなく、用途に応じて複数のプラスチック部品が組み合わされて機能しています。主な構成部品は以下の通りです。
身体へ直接挿入されるメインの管部分です。用途によって太さや長さが異なります。チューブの内部が複数の独立した通路(ルーメン)に分かれている構造が一般的ですが、さらに複雑な構造を持つものもあります。
体外に出ている根元部分のことで、輸液セットやシリンジ、排液バッグなどの他の医療機器と接続するための部品です。
血管を広げたり、カテーテルが抜けないように固定したりするため、チューブの先端付近に取り付けられている風船状の薄膜パーツです。
カテーテルは体内組織や血液に直接触れたり、身体の中に留置されたりするため、人体への安全性を証明する生体適合性が不可欠です。製造にあたっては、ISO 10993やUSPといった厳しい生体適合性試験をクリアした医療グレードの樹脂素材が使用されます。
血管内カテーテルなどに多く用いられる素材です。体温で柔らかくなる性質(感温性)があるため血管内壁を傷つけにくく、かつ適度なコシがあり操作性に優れています。伸縮性や弾性の良さから、ストレッチ素材の合成繊維として用いられることもあります。
生体適合性が高く、長期間体内に留置する尿道カテーテルや中心静脈カテーテルなどに適しています。耐水性や耐薬品性に加え、耐熱性・耐寒性などの環境耐性にも優れているのが特徴です。自動車やOA機器、食品衛生などの分野でも広く利用されています。
柔軟で加工しやすくコストパフォーマンスに優れるため、吸引カテーテルや栄養カテーテルなどに広く利用されます。化学的安定性と耐久性があり、輸液チューブや血液バッグなどにも多用されています。
滑りが非常に良く耐薬品性にも優れていることから、ガイドワイヤーを通すための内層材などに使われることが多い素材です。
樹脂製カテーテルの部品は、形状や用途に応じて複数の製造法を組み合わせて作られます。
加熱して溶かした樹脂を金型から押し出し、冷やして固めることで、長いチューブ状の形状をつくる加工方法です。途切れることなく連続的に製造できるため、カテーテルのメインとなる長尺のチューブ部分の成形に適しています。
溶融した医療グレードの樹脂を高圧で金型に注入し、冷却して固める技術です。カテーテルハブやコネクタなど、精密で複雑な立体部品を成形する際に用いられます。
成形後、チューブの強度や操作性を高めるために極細のステンレス線を編み込むブレード加工や、体内での滑りを良くするための親水性コーティングなどが施されます。
医療用カテーテルの加工には、ミクロン単位の微細加工技術が欠かせません。製造を委託する加工メーカーを選定する際は、以下のポイントを基準に技術力と実績を確認することが重要です。
中心静脈カテーテルなどは、1本の細いチューブの中に薬液を入れる穴、採血する穴など複数の独立した穴(ルーメン)を持たせる必要があります。ミクロン単位で偏肉(厚みの偏り)を防ぎ、真円度を保ちながら長尺のマルチルーメンチューブを安定して押し出せるかどうかが、メーカーの技術力を測る重要な指標となります。
柔軟なチューブ部分と硬いカテーテルハブ部分をつなぎ合わせる工程は非常に重要です。接着剤の成分が医療上のリスクになることを避けるため、熱や超音波を用いて樹脂同士を直接結合させる高周波溶着やインサート成形の高度な技術力が求められます。
血管内などを進むカテーテルは、体液に触れると表面が滑りやすくなる親水性潤滑コーティングが不可欠です。成形技術だけでなく、先端の丸み加工やコーティング、クリーンルーム内での組み立て・滅菌包装まで一貫して対応できるメーカーを選ぶことで、開発スピードの向上とコストダウンにつながります。
医療用カテーテルは、血管や消化管、尿管、あるいは胸腔・腹腔といった部位へ挿入し、体液の排出や薬剤・造影剤の注入などに使用される重要な医療器具です。
製造委託先を選定する際には、マルチルーメンチューブの押出技術や接合・溶着技術だけでなく、コーティングや滅菌包装といった二次加工への対応力についても確認しておくことが望ましいです。
以下のページでは、医療用プラスチック部品の製造に対応している加工・成形メーカーをご紹介しています。委託先選びの比較・検討に、あわせてお役立てください。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325