医療機器と相性が良い素材を探しているなら、「スーパーエンプラ」は検討から外せません。医療機器に必要な耐熱性・耐薬品性を備えた素材です。ここでは、スーパーエンプラの特徴や活用できる分野などを解説します。
スーパーエンジニアリングプラスチックを射出成形することをスーパーエンプラ成形と言います。スーパーエンジニアリングプラスチックは、PEEK・PPS・LCP・PTFE・PSUなど、いわゆるエンプラより耐熱性・耐薬品性・耐摩耗性などの機能を高めたプラスチックです。
スーパーエンジニアリングプラスチックは、材料費も高く、高精度な成形品が要求されます。樹脂やエンプラより射出成形の難易度が高いです。金型にも高い機能・精度が求められます。
| 分類 | 種類 | 耐熱性 | 価格 | 機能 |
|---|---|---|---|---|
| 汎用プラスチック | PE、PP、PS、PVC | ~100℃ | 安 | 高 |
| エンプラ | PA、PC、PBT、PET | ~150℃ | 中 | 中 |
| スーパーエンプラ | PBI、PEEK、PTFE、PI | ~250℃ | 高 | 低 |
プラスチックの種類は、「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」です。「熱可塑性樹脂」で機能性を高めたものが「エンプラ」、それ以外は汎用プラスチックと呼ばれます。エンプラの中で、高分子材料や補強繊維などと複合化したものが「スーパーエンプラ」です。
耐熱性は、汎用プラスチックが100℃、エンプラが150℃、スーパーエンプラが250℃までとされています。コストや加工難易度も汎用プラスチック、エンプラ、スーパーエンプラの順に上がるのが特徴です。
透明性が高く、蒸気殺菌の高温に耐えられるという特徴から、医療機器向けに採用されています。医療用中空糸膜や内視鏡、透析器などで活躍している素材です。医療分野で採用されやすい理由には、スーパーエンプラにはフッ素を含むものが多く、溶剤や薬品に対しても高い耐性を持つことも挙げられます。
医療用以外には、自動車や住宅設備、食品機械などが活躍のフィールドです。スーパーエンプラはコストが高いため、コストメリットを考慮した使い方が検討されています。
前述した通り、スーパーエンプラは医療業界でよく活用されています。下記に材料と製品を表でまとめました。取り扱う製品はどの材料が良いのか迷った際にご活用ください。
| 製品カテゴリ | 材料 | 用途 |
|---|---|---|
| 人工呼吸器・各種医療機器向け材料 | PSU、PES、PPSU | 患者との接触に適した、コネクタ・容器・チャンバーなどの透明で滅菌可能な部品 |
| PEEK、PARA、PPA | 呼吸装置の内部構造部品・筐体などの強度・剛性・寸法安定性が必要な部品 | |
| フェイスシールド | PSU、PPSU Film | 不足する使い捨てフェイスシールドを、消毒、滅菌、および再使用可能 |
| マスク | PTFE、PVDF | 外科用およびN95空気ろ過マスク用の不織布 |
| 潤滑剤 | PFPE | 酸素供給システム部品の潤滑剤、高圧空気システムのOリング、継手、バルブ、およびレギュレーターの潤滑に使用されるグリース用の高純度オイル |
| 3Dプリント | PPSU、PEEK、PVDFフィラメント | ISO10993に適合した3DP用フィラメント |
スーパーエンプラは、耐熱性・耐薬品性・耐摩耗性といった機能性が高いプラスチックの一種です。汎用プラスチックはもちろん、それより機能性が高いとされているエンプラより、さらに高い機能を特徴としています。高温に耐える特徴から高温殺菌が可能で、薬品や溶剤に対する耐性も持つスーパーエンプラは、医療機器に適した素材です。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325