こちらの記事では、医療用プラスチックにおける重要な性質である「耐寒性」について紹介しています。耐寒性に優れた樹脂にはどのようなものがあるのか、どのような用途で使用されているのかをまとめていますので、樹脂選びの参考にしてください。
低温におけるプラスチック材料の性能を「耐寒性」といいます。一般的に、プラスチックは低温にさらされた場合には脆さを示すようになります。これは「脆化(ぜいか)」と呼ばれており、脆性破壊を起こす限界温度は「脆化温度」といわれます。この脆性温度を決定する際には、まずさまざまな温度化で試験片に衝撃を与えます。そして、その破壊状態によってそれぞれの材料における脆化温度を決定します。このように、プラスチック材料の耐寒試験においては、低温下での脆化のほか、硬さや曲げ、伸びといったさまざまな性質を測定し、性能の評価を行います。
安価であり、さまざまな形に成形できることから多くの場面で使用されるポリカーボネートを紹介。特徴や医療分野における使用例などを見ていきましょう。
優れた耐熱性・耐衝撃性を持っている熱可塑性樹脂です。耐寒性も高く、マイナス100℃から140℃ほどと幅広く、さまざまな環境での使用ができます。耐衝撃性については、アクリル樹脂のおよそ40倍、普通ガラスのおよそ400倍となっています。また、汎用エンプラのひとつであり、透明性が高い点も特徴です。
医療現場で用いられる蒸気滅菌やEOG滅菌に対応していることから、ポリカーボネート樹脂は人工透析器ハウジングやコネクタ、キャップ、活栓、医療針などさまざまなところに用いられています。
こちらで紹介するPFAは、フッ素樹脂についてさらなる加工性を求めて開発された素材です。PFAの特徴と医療用プラスチックの使用例について解説します。
四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンの共重合体であるPFAは、複雑な形状に溶融成形可能な特性を持っています。また、高い耐熱性・耐寒性を持っている点も注目したいポイントです。最高連続使用温度は260℃であり、他の樹脂と比較すると非常に高い耐熱性となっています。
また、-196℃の極めて低い温度の環境でも耐性を発揮できます。他の樹脂と比較した場合、低温環境での耐衝撃性も優れていることから、低温における利用が想定される機器にも用いられる樹脂です。
医療分野においては、人工透析システム配管などに使用されています。PFAは耐寒性が高いことに加えて、薬品に対しても優れた体制を発揮する素材です。酸やアルカリ、有機溶剤など幅広い薬品へ耐性を発揮するため、さまざまな化学薬品にさらされた場合でも安定性を示します。
イミド結合を持っている高分子の総称をポリイミドと呼びます。ここでは、ポリイミドの特徴や医療用プラスチックとしての使用例をご紹介します。
さまざまな樹脂の中でも高い耐熱性と機械的強度を持っています。特に絶縁性が高く、熱膨張係数も低いことから、金属に近い性質を持っている点もポイントのひとつといえます。また、非熱可塑性の耐熱性素材であるという面も持っています。
耐薬品性にも優れているポリイミドは、医療分野にも使用されています。薄肉形成ができることから、心臓カテーテルのシャフトに用いられているほか、高い絶縁性を活かし電極カテーテルのインナチューブにも用いられています。
医療用プラスチックにおいて重要な性質のひとつである「耐寒性」について紹介してきました。耐寒性に優れた樹脂の種類としては、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などさまざまなものがありますので、それぞれの特徴を知り、用途に合った素材を選んでください。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325