ABSは、アクリロ二トリル、ブタジエン、スチレンという3つの樹脂から構成される合成樹脂です。
ABSの特徴や、ABSで成形された医療機器部品などのプラスチック成形品について解説します。
ABSは、衝撃に強く硬度も高いことから耐久性が求められる用途に使用されることが多い樹脂です。
酸やアルカリにも強く、耐薬性も認められることから医療現場での活用も多く見られます。
なお、有機溶剤には溶けやすいので注意が必要です。
加工性が良いこともABSの特徴のひとつです。
押出や真空、中空などの射出成形はもちろん、切削、溶接、接着などの加工にも対応し、さまざまな形状の成形品をつくれます。
また、塗装性にも優れ様々な色に着色することも可能です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
ABSの取り扱いを確認
一部のアルコールに長時間浸すと、膨潤することがあります。
用途によっては、ABSと同等またはそれ以上の特性を持つ樹脂の利用を検討しましょう。
| 耐酸性 | 〇 |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ◎ |
| 有機溶剤 | △ |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」[PDF](https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf)
機械的性質において、ABSはバランスよく優れた素材です。
なお、耐候性はあまり良くなく日光に長時間あてると劣化することがあります。
| 比重 | 1.03 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 440 |
| 破断時伸び(%) | 10 |
| 引張弾性率(MPa) | 15 |
| 圧縮強度(MPa) | 500 |
| 曲げ強度(MPa) | 700 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 28 |
| 硬度(ロックウェル) | 105 |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」[PDF](https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf)
耐熱温度はそれほど高くなく、ものによっては100℃に満たない場合もあります。
使用環境などによっては、耐熱温度の高い素材への加工も検討しましょう。
| 連続耐熱温度(℃) | 100-110 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 7 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 89 |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」[PDF](https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf)
機械的特性と汎用性の高さから、医療現場でも電子体温計や心臓カテーテルコネクターなど、さまざまなシーンで活用されています。
また印刷特性も優れているため、医療機器の筐体などにもABSが使われています。ただし、一部アルコールに弱いため、取り扱いの際には注意が必要です。
ABSの活用したプラスチック成形品を依頼する場合、その特性や活用法を熟知している加工メーカーを選ぶことも大切なポイントです。
使用環境や用途などに応じられる、選択幅の広いところに依頼すると不良品も少なく安心でしょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325