こちらのページでは、医療用プラスチックに求められる「生体適合性(バイオコンパチビリティ)」について解説します。生体適合性とはどのようなものなのか、また生体適合性に優れた樹脂の種類や特徴、医療用プラスチックの使用例についてまとめています。
生体組織や器官との親和性があり、異物反応や拒絶反応を起こさない性質を「生体適合性」と呼びます。その材料を生体内に使用した場合、長期にわたり悪影響などを与えず、材料の機能と耐久性を保持できる材料の属性を指しており、異物反応が少ないものほど生体適合性が高いと評価されます。
また「生体適合樹脂」とは、生体との適合性を持った樹脂を指しており、医療用プラスチックとして用いられます。その用途としては、人工臓器や義歯といったように人体に埋め込んで使用するものから、血液と接する医療器具といったように幅広く用いられています。また、使用時には通常の方法での滅菌が必要となることから、生体適合樹脂には耐薬品性も求められます。
プラスチック素材のひとつであるポリエチレンは、プラスチック樹脂の中でも安価であり、加工しやすい原料のひとつであることから、さまざまな製品に使用されています。もちろん医療業界向けのプラスチック製品にも使用されています。
一般的に、ポリエチレンは低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンに分類されており、いずれも耐薬品性や電気絶縁性が高い点が特徴として挙げられます。そのほか、低密度ポリエチレンは比重が軽いため水に浮くとともに柔軟で低温に強いという面があり、高密度ポリエチレンは低密度ポリエチレンと比較すると剛性が高いという面を持っています。
ポリエチレンは、例えば透明性と耐薬品性が求められる薬液や血液を入れるソフトバッグに使用されています。そのほか、注射で使用されるシリンジについては、現在はほとんどがプラスチック製となっていますが、その中ではポリエチレンもよく使用されます。
また、内視鏡治療では腫瘍があり詰まってしまった胆管を押し広げる目的で、「ステント」と呼ばれるプラスチック製の細いチューブを留置する場合があります。この場合、ステントの材質にはポリエチレンを使用することが一般的です(ケースによっては金属製のステントを使用する場合もあります)。
アミド結合の繰り返しにより主鎖を構成する、熱可塑性高分子材料であり、一般的に「ナイロン」という名前でも知られています。ここでは、ポリアミド樹脂の特徴や医療用プラスチックの使用例を見ていきましょう。
ポリアミド樹脂は、耐熱性に優れている点や金属の代替として用いられるほどの強度、耐摩耗性、引っ張り強度や靱性に優れています。これらの特性を活かし、医療・バイオテクノロジー分野の他、自動車産業や電子・電気機器への利用、建築・建設分野など非常に幅広い分野で用いられています。
医療業界においては、ポリアミド樹脂は手術器具やプロテーゼ、カテーテルなどの用途に用いられています。生体適合性が高い点、高い耐久性が必要な用途に適した医療用プラスチックといえます。
医療用プラスチックに使用される材料の性質として、生体適合性は非常に重要な性質といえます。生体適合性に優れた樹脂は、ポリエチレンやポリアミド樹脂などが挙げられていますが、それぞれの用途に合った材料を選ぶことが大切です。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325