スーパーエンジニアリングプラスチックのひとつ、PPS(ポリフェニレンサルファイド)の特徴や成形された医療機器部品などのプラスチック成形品について解説します。
PPSの融点は約280℃。200℃以上の環境下でも機械的特性を保持する優れた耐熱性が、大きな特徴です。燃えにくい樹脂としても知られ、難燃剤を含まなくても不燃性に優れています。
素材自体の強度は低いものの、ガラスや充填剤などで強化させることによって高い耐久性を生み出します。引張強度や剛性、耐摩耗性で利点のある樹脂です。耐薬性については、ほとんどの薬品に侵されない安定した品質もPPSの特徴です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選のPPSの取り扱いを確認
一部の強い酸を除き、酸・アルカリ・有機溶剤いずれも耐える樹脂です。200℃以下であれば、PPSを溶かす薬品は無いといわれます。
| 耐酸性 | ◎ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ◎ |
| 有機溶剤 | ◎ |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
強化されていない無充填グレードだと衝撃などに弱いため、ガラスや炭素繊維、無機質充填剤などにより強化して使われるのが一般的です。
| 比重 | 1.35 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 950 |
| 破断時伸び(%) | 19 |
| 引張弾性率(MPa) | 35.15 |
| 圧縮強度(MPa) | 1510 |
| 曲げ強度(MPa) | 1500 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 35 |
| 硬度(ロックウェル) | 124 |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
荷重たわみ温度は低いものの、ガラス繊維などで強化することにより260℃以上でも耐えうるグレードもあります。
| 連続耐熱温度(℃) | 250 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 5 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 121 |
参照元:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
いくつかのグレードがあるPPSには、医療用のグレードも登場しています。医療用チューブに活用されることが多いですが、強度が高いことから金属が使用できない医療器具にPPSが使われることもあります。
PPSの射出成形は難度が高いといわれ、バリが発生しやすいことが知られています。PPSの成形品を依頼する際には、素材を扱っていることはもちろん、品質の信頼できるプラスチック加工メーカーを選定することもポイントになります。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325