フッ素樹脂の一種である三フッ化には、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などの種類があります。
三フッ化の特徴や成形された医療機器部品などのプラスチック成形品について解説します。
三フッ化(PCTFE)は、融点が約220℃、連続耐熱温度が120℃以上という耐熱性の高い樹脂です。
また、ほとんどの薬品に侵されない耐薬性も有しており、医療機器はもちろん、理化学実験器具の部品や先端技術の分野でも広く活用されています。
三フッ化は、プラスチックのなかでも摩擦の少ない樹脂としても知られます。
誘電率や誘電正接が低いといった電気的特性も良いことから、絶縁材としての活用も多くみられます。
吸湿、吸水性も0%の樹脂です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
三フッ化の取り扱いを確認
耐酸性、耐アルカリ性に加え、有機溶剤全般に強い樹脂です。溶融アルカリ金属やフッ化水素酸に触れても溶けません。
| 耐酸性 | ◎ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ◎ |
| 有機溶剤 | ◎ |
参照元:パッキンランド「フッ素樹脂テフロンの一般特性」(https://www.packing.co.jp/PTFE/ptfe_ippantokusei1.htm)
耐薬性は高いものの、耐久性はそれほど高い樹脂とはいえません。耐久性を求める場合は、他の樹脂での応用も検討しましょう。
| 比重 | 2.2 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 31-41 |
| 破断時伸び(%) | 80-250 |
| 引張弾性率(MPa) | 1.03-2.10 |
| 圧縮強度(MPa) | 31-51 |
| 曲げ強度(MPa) | 180 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 1.25-1.79 |
| 硬度(ロックウェル) | 80 |
参照元:株式会社KDA「PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)樹脂物性表1」(https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pctfe2.htm)
三フッ化は、テフロンなどと同じ仲間。調理器具でも知られる樹脂で、耐熱性の高い素材です。
| 連続耐熱温度(℃) | 120 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 6 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 126 |
参照元:株式会社KDA「PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)樹脂物性表1」(https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pctfe2.htm)
理化学実験器具の部品にも多く活用される三フッ化。
医療現場でも、カテーテルに使われるワイヤーなどにフッ素樹脂コーティングする際、三フッ化が使用されるケースがあります。
このほかにも、ラインチューブ、カテーテルのシャフトインナーチューブ、処置具シースなどにも三フッ化が使用されることがあります。
医療機器のプラスチック部品に、三フッ化を扱うメーカーは意外と多くありません。
というのも、熱流動性が悪く成形が難しい素材だからです。
そのため、三フッ化を使った成形品を依頼する場合は、加工技術と品質に長けた業者を選ぶことが重要なポイントになります。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325