コスト削減や耐久性の向上など様々なメリットを持つ射出形成は、医療用プラスチック製品の製造でも役立てられています。
実際に射出形成で製造された医療用プラスチック製品について見ていきましょう。
| 製品名 | 血液吸引用チップ |
|---|---|
| 材質 | PP |
| 用途 | 血液を吸引する検査装置に使用されるチップ |
| 寸法 | 60mm×φ5mm(肉厚:0.6mm) |
血液を吸引する検査装置に使われるチップであり、試薬のフィルムへ穴をあけ、そのまま血液を管中できるようにすることを目的として先端が斜め45度のナイフエッジの形状となっています。
製作の際には大量のガスを逃がせる構造であること、すき間のない構造であることの2点の要求が試されました。深さ・太さの設計でも工夫を凝らしています。
| 製品名 | ミキシングチャンバー |
|---|---|
| 業界 | 医療機器 |
| 用途 | 薬液混合器 |
| 成形ジャンル | プラスチック射出成形 |
| 寸法 | φ30×40×55 |
薬液混合器として使われる「ミキシングチャンバー」と呼ばれる部品は、医療関係で使われるため微細なバリも許されません。そのため金型の製作から最新の注意を払って加工されました。
金型の長寿命化とコストのバランスを考慮しながら、射出成形品としての提案・ヒアリングの元製造された製品です。
| 製品名 | 精液保存・採精容器 トランスポーターS |
|---|---|
| 材質 | ポリプロピレン |
| 用途 | 精液の保存・輸送、採精容器 |
| 寸法 | φ61 x 86mm |
精液の保存や輸送・採精時に活躍するプラスチック容器として製造されました。通常の採精容器は1重構造のため、外気温殿影響を受けやすい点や、容器の体積が大きいため精子が絶えず空気と接触し、劣化してしまうことが問題点としてあげられていました。 本製品は精液保管部分周りに空気層をつくることで、外気温の影響を受けづらく、常温dwも保温力が高くなる点が特徴です。
| 製品名 | 改ざん防止キャップ |
|---|---|
| 材質 | PE |
| 製品設計 | 客先支給図面 |
| 用途 | 医療用小型容器キャップ |
| 寸法 | φ50~90 x 40~80 |
容器は内容物の漏れが致命欠陥になる他、改ざん防止も重要な要求としてあげられます。
本製品はキャップ機能に加えてバージンシールを加えてあるため、つまみを持ってバンドを剥がせば容易にキャップを開けられますが、バンドを切らない限りキャップが外れない設計になっており、改ざん防止としての役目を果たしています。
| 製品名 | 医療用シリンジ中栓 |
|---|---|
| 材質 | エラストマー |
| 製品設計 | 客先支給図面 |
| 用途 | 医療用シリンジ中栓 |
| 寸法 | φ7 x 7 |
医療用プラスチック製品の、シリンジ専用中栓として製造された製品です。材質はエラストマーを採用し、3つのアンダーカットがあります。
これにより、プラスチック射出製品の要求仕様として3凡戦がハッキリ見える程度の強いアンダーカットがある点や、3本線に対して直角方面にPL面があってはならないという厳しい要求をクリアしました。
金型メーカー協力の下、液漏れに影響しない医療用プラスチックとして製造されています。
| 製品名 | 薄肉チューブ成形品 |
|---|---|
| 材質 | PP |
| 製品設計 | 客先支給図面 |
| 用途 | 医療装置用の薄肉チューブ |
| 寸法 | φ5 x 12 |
リアルタイムPCR用チューブは、胴体部分の肉厚を極力薄くするというニーズがあるため、加熱と冷却を繰り返しても熱伝導が良くなるよう、金型設計の時点でキャビとコアの位置合わせ機構に工夫が必要でした。
また、偏肉しないように配慮することも重要な製品として、肉厚の厚い側・薄い側どちらにも細心の注意を払って製造された製品です。
| 製品名 | 試薬カートリッジ |
|---|---|
| 材質 | PP |
| 製品設計 | 客先支給図面 |
| 用途 | 試薬カートリッジ |
| 寸法 | 180×50×75 |
試薬を保存することを目的として使用されるカートリッジ製品です。試薬を入れる容器部分にウェルドや穴、反りはNGとのことで、試薬を入れる穴の部分を周りより一段高くすることによって要求を満たしました。
上部にフィルムの溶着やシール貼り付けを施す必要もあったため、フィルム・シールのシワや穴あき防止にも留意して製造されています。
| 製品名 | 加圧式開栓容器 |
|---|---|
| 材質 | ポリエチレン |
| 用途 | 片手で開栓できる容器 |
| 寸法 | 20mm×10mm×Φ10mm |
中に試薬を入れた状態で容器を加圧すると、底部が開栓する仕組みになっています。片手で使用することを念頭に置いた上で、サイズも小さめに設計されました。
従来は試薬を容器に入れた際にはキャップを占めて保存し、取り出す際にはキャップを開けるという手間がありましたが、加圧式開栓によって試薬検査の効率化に貢献しています。
プルタブ感のような開口の原理を応用した製品です。
幅広い材質が選択可能な点や、耐久性の高さ、コスト削減など様々なメリットを持つ射出形成形は、医療用プラスチック製品との相性も良く、様々な場面で使われる道具に活用されています。
各メーカーには医療現場での業務効率化を見据えた上での、様々な要望も相談できるでしょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325