医療現場にはさまざまな支持具が活用されており、そのなかには樹脂加工でつくられたものもあります。
ここでは、医療機器に使われるプラスチック樹脂の支持具の加工について紹介します。
ひとくちに支持具といっても、その種類は多種多様です。手術やX線撮影をスムーズに行うために手術台などに取り付けて患部を支持する用具もありますし、入院患者の排泄をサポートする支持具もあります。また、車いす利用者の首が下がるのを防ぐために、頭部に取り付ける支持具も開発されるなど、目的や用途によって多岐にわたります。
これらの支持具は人の身体に直接触れるものが多く、金属製よりも樹脂製のほうが好まれる傾向があるようです。
樹脂製の支持具の製造は、その形状や必要な精度などの要件にあわせて加工法が選ばれます。代表的な加工法としては、射出成形や切削があるでしょう。
射出成形は、熱で溶かした合成樹脂を金型に流し込んで成形する加工法です。サイズや形状の自由度に優れ、精度の高さが求められる成形品にも対応します。金型があるため量産も容易ですが、その一方で金型の製作コストがかかるなど初期費用が高くなるという一面もあります。
コストを抑えるなら、切削のほうがよいかもしれません。塊の合成樹脂を専用工具で削りながら作成していく加工法で、金型を作る必要はなく初期投資を抑えられます。ただし、支持具の形状や求める精度などの条件によっては、切削だけでは製作できないこともあります。
患者のニーズにあわせて多種多様な支持具が登場するとともに、成形品には複雑な形状や仕様を求められることが多くなりました。このような背景から、プラスチック加工を行うメーカーには、技術力はもちろん、多様な加工に応じられることも求められます。メーカー選定の際には、対応している加工法もチェックしましょう。
支持具は、設計の精度も重要なポイントになる器具が多く見られます。繊細さが求められるようであれば、支持具そのものの設計精度が医療機器の性能を左右するといっても過言ではありません。
単に図面を見て加工するだけのプラスチック加工メーカーではなく、設計についてもアドバイスをしてくれるようなメーカーのほうが使い勝手がよいかもしれません。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325