MCナイロンは、従来のナイロン樹脂に耐久性などの機能を付加したエンジニアリングプラスチックです。MCナイロンの特徴や、MCナイロンで成形された医療機器部品などのプラスチック成形品について解説します。
MCナイロンは、機械的特性における機能を高めたナイロン樹脂です。従来のナイロンよりも耐摩耗性に優れており、とくに高荷重下で使用するときに、その力を発揮します。
MCナイロンには複数のグレードがあり、それぞれの素材によって使用温度や特徴が異なります。電気特性も、通常グレードは絶縁素材ですが、帯電防止グレード、導電グレードなどの樹脂もあります。
アルカリや有機溶剤に侵されにくく、耐薬性に優れていることもMCナイロンの特徴のひとつです。
ただし、長期間浸漬している場面や、薬液の濃度などによって性能が劣る場合があります。また、吸水性や吸湿性の大きい素材ですから、寸法が変化しやすい点も注意が必要です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
MCナイロンの取り扱いを確認
短期間であれば、アルカリ、有機溶剤、油脂などに触れても品質が損なわれることは、ほぼありません。なお、酸には弱い樹脂です。
| 耐酸性 | △ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ○ |
| 有機溶剤 | ○ |
参考:参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
ナイロン66と同等または高い機械的特性を持っており、耐久性の点で優れたナイロン樹脂といえます。
| 比重 | 1.14 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 980 |
| 破断時伸び(%) | 30 |
| 引張弾性率(MPa) | 35 |
| 圧縮強度(MPa) | 970 |
| 曲げ強度(MPa) | 1120 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 36 |
| 硬度(ロックウェル) | 120 |
参考:参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
連続使用温度は、-40℃から120℃まで対応可能。ナイロン66と同等の性能です。
| 連続耐熱温度(℃) | 120 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 9 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 200 |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)
https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
自己潤滑性がありすべり性能に優れていることから、軸受けや修道部品などにも適しています。また、ノイズの発生も低減できるというメリットもあります。
物性的に近いPOMの代用品としてMCナイロンが活用される場面もみられるようです。
医療機器に使われるプラスチックは、実に多種多様な種類があります。そのなかから、つくりたいものに適した素材を選ぶには、多様な樹脂を取り扱い、品質にもこだわっているメーカーに依頼することが大きなポイントになるでしょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325