ペット(PET:ポリエチレンテレフタラート)の特徴や物性、ペットで成形される医療機器部品などのプラスチック品について解説します。
機械的性質に優れた樹脂で、ナイロンと同等の高い耐摩耗性と曲げ強度を誇る素材です。
ただし、単体ではもろい性質のため、ガラス繊維などで強化したうえでエンプラとして活用されることもあります。
吸湿や吸水による寸法変化のしにくい樹脂で、寸法安定性にも優れています。
精度とコストの両方を求められる医療機器などには、ペットが使われることも多々あります。
「ペットボトル」でも知られるように、ペットは容器としても適した素材です。
アルコールや油脂類、一部の無機酸などを保存する場合にも、耐薬性の高いペットが向いています。
ただし、アルカリや有機溶剤には注意が必要です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
ペットの取り扱いを確認
耐酸性は比較的に高いものの、エステル系や有機溶剤に触れると白化や膨潤することがあります。
| 耐酸性 | ○ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | △ |
| 有機溶剤 | △ |
参照元:株式会社矢板「PET樹脂とは?」(https://www.yaita-ss.co.jp/pc/free01.html)
衝撃に対する強さは、ペットが得意とする分野。摩耗や曲げなどの多い場面にも向いています。
| 比重 | 1.39 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 860 |
| 破断時伸び(%) | 20 |
| 引張弾性率(MPa) | 2800-4200 |
| 圧縮強度(MPa) | 990 |
| 曲げ強度(MPa) | 1300 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 30.7 |
| 硬度(ロックウェル) | 125 |
参照元:株式会社KDA「PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂物性表1」(https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pet2.htm)
ペット単体の耐熱温度は高くありませんが、ガラス繊維などで強化することにより200℃以上でも変形しない耐熱性を保持できます。
| 連続耐熱温度(℃) | 80 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 6 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 98 |
参照元:株式会社KDA「PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂物性表1」(https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pet2.htm)
寸法安定性や高剛性といった特徴から、医療機器の各種部品にペットを使用されるケースは多くみられます。
位置出し用の重要部品において、POMよりコストを抑えられるペットへ変更するといったケースもあり、コストバランスのよい成形品の製作に適した樹脂です。
スーパーエンプラのような高価な樹脂を使うと、成形品も高価になりがちです。
使用環境や用途に加え、コストバランスも考慮するには素材を豊富に取り扱い、信頼と実績のあるプラスチック加工メーカーに依頼することもポイントでしょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325