エンジニアリングプラスチックの新しい結晶性樹脂・PBT(ポリブチレンテレフタレート)。PBTの特徴や物性、PBTで成形される医療機器部品などのプラスチックについてお伝えします。
PBTの耐熱温度はそれほど高くありませんが、熱を長時間与えても劣化しない耐熱老化性には優れています。高温環境で使用する場合でも、機械的特性に大きな変化がみられない安定性が、特徴のひとつです。
絶縁破壊強度や体積抵抗率といった電気的特性についても、幅広い温度域で良好です。とりわけ絶縁性に優れ、熱可塑性樹脂のなかでは高い数値を示します。
吸水性の少ない樹脂であるため、寸法安定性も優れています。また、耐候性が良い樹脂ですから、日光に当たる環境でも使用可能です。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
PBTの取り扱いを確認
有機溶剤や油脂などには、長期耐性のある樹脂です。ただし、アルカリやフェノール類に対しては弱い傾向があります。
| 耐酸性 | △ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | × |
| 有機溶剤 | ◎ |
参照元:東レプラスチック精工株式会社「耐薬品データ」(PDF)https://www.toplaseiko.com/product/pdf/chemicals_ep.pdf
強靭で剛性が高いことも、PBTの特徴のひとつ。グレードによっては耐摩耗性に優れた樹脂もあります。
| 比重 | 1.30-1.38 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 57 |
| 破断時伸び(%) | 50-300 |
| 引張弾性率(MPa) | 1,900-3,000 |
| 圧縮強度(MPa) | 59-100 |
| 曲げ強度(MPa) | 82-115 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | - |
| 硬度(ロックウェル) | M68-78 |
参照元:株式会社KDA「PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂物性表」https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pbt2.htm
長時間の熱に強い樹脂で、高温でも安定した機械的特性を保持します。
| 連続耐熱温度(℃) | 60-140 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 6.0-9.5 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 50-85 |
参照元:株式会社KDA「PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂物性表」https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pbt2.htm
強靭で剛性があるといった耐久性の利点から、PBTは医療部品のほかにも精密機械部品、自動車部品、電気・電子製品など広く活用されています。医療分野では、長時間の耐熱性がある特性から、医療用パックに使用されるケースが多くみられます。
医療機器に使われるプラスチックは、日進月歩で新しい樹脂素材が登場しています。PBTのように従来の樹脂と比べて性能の高い素材も出ていますから、多彩な樹脂を扱い信頼できるプラスチック加工メーカーに相談してみてはいかがでしょうか。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325