MRIなどの医療機器は、求められる精度が高いことなどを理由に金属で作られている部品が多いのが現状です。しかし、この金属部分をプラスチックで代用できる技術が発展を遂げてきました。とりわけエンプラやスーパーエンプラが金属に代わるだけの性能を持つようになり、軽量なプラスチックの方が有利な点も出てきたのです。
部品以外にも、MRI関連製品でプラスチックが有効に使われているケースがあります。例えば、高磁場MRIに対応する車イス。強化プラスチックで製造されていて磁性がないので、安心して利用することができます。
MRIの中では磁性のあるものは一切利用できないため金属からプラスチックへ置き換える流れが、今後加速していくかもしれません。
MRIの部品で、汎用プラスチックが利用されている例は見つかりませんでした。
MRIの部品の一部を、エンプラであるエポキシガラスで加工した例があります。このエポキシガラスは、耐熱温度が高いことが特徴。
また断熱性、絶縁性、機械強度に優れているのもポイント。薄くても反りにくいという特徴があるので、プリント基盤の材料や電子部品として加工されることもあります。
反りが少ないのは、エポキシガラスの収縮率が低いということに理由があります。収縮率が低いということは、成形したあとの寸法の変化が少なく、公差が小さくなるという大きなメリットがあるのです。
MRIの部品で、スーパーエンプラが利用されている例は見つかりませんでした。
射出成形は、200℃前後まで加熱してやわらかくなったプラスチック樹脂を金型へ押し込んで、冷やして固めることで部品を製造する加工方法です。
効率よく大量生産できることがメリットのひとつ。金型の設計や製造に時間がかかりますが、完成後は大量生産が容易に。
ただし金型に樹脂を押し込む、また押し込まれる金型を押さえるのに大きな圧力が発生するため、大がかりな装置が必要となります。
棒材や形材を刃物で削って形を作るのが切削加工です。成形加工と違って金型が必要ないので、すぐに生産に取り掛かれるというメリットがあります。
反面、手動で切削する加工は工数が多いため大量生産には向かないことには注意が必要ですが、NC旋盤やマシニングセンターといった自動で加工してくれる装置があれば効率のいい生産も可能です。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325