医療用プラスチックに求められる性能のひとつに「耐摩耗性」があります。そこでこちらの記事では、耐摩耗性とはどのような性質なのか、また耐摩耗性に優れた医療用プラスチックにはどのようなものがあるのかをまとめています。
まず「摩耗」とは、摩擦や研磨によって表面がすり減る現象です。すり減ってしまうことにより体積の減少が起こり、部品の性能が損なわれてしまうケースもあります。例えば、摩耗しにくい素材を「耐摩耗性が高い」と表現します。医療用プラスチックにおいては、性能が損なわれることがないように耐摩耗性の高さも求められるでしょう。
耐摩耗性を向上するためには、例えば材料を硬くして摩耗量を減らす、摩擦係数の少ない表面にする、摩擦力を材料内部で緩和するといった方法があります。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Poly Ether Ether Ketone)とは、「スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)」と呼ばれている熱可塑性樹脂のひとつです。このポリエーテルエーテルケトンは、耐摩耗性や耐衝撃性、耐熱性などさまざまな面において優れた性能を持っていることから、医療用機器部品などさまざまな部品に使われています。
高い耐摩耗性のほか、安定性や耐薬品性に優れるなどさまざまな特徴を持っているポリエーテルエーテルケトンは、医療分野でも用いられています。例えば、金属製の人工骨の代替として用いられるケースや、手術用器具、歯科の診療機械などがあります。また、カテーテルシャフトや血液分析を行う際に使用されている試薬ラインチューブなどにも使用されています。
ポリオキシメチレン(POM樹脂)は、熱可塑性樹脂のひとつです。5大汎用エンプラのひとつとして数えられており、メチル基(CH2)と酸素(O)が規則正しく並ぶ化学構造が特徴。この点から結晶化度が高く、強度や剛性などの機械特性に優れています。さらに、高い耐摩耗性も持っており、金属の代替品として多く用いられています。
ポリオキシメチレン(POM樹脂)は、多くの洗浄剤・消毒剤・溶剤への耐性を持っているプラスチックであるため、高温蒸気滅菌処理を行うことが可能です。そのため、肘や股関節、肩といった関節の置換手術におけるサイジングテストピースなど手術器具として用いられています。
こちらの記事では、医療用として用いられるプラスチックの耐摩耗性についてご紹介してきました。医療分野に用いる部品は耐摩耗性に優れていることも大切です。この点から耐摩耗性に優れており、医療分野で用いられている樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリオキシメチレン(POM樹脂)などがあります。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325