PSUはPSFとも略され、「ポリサルフォン」という名称のスーパーエンジニアリングプラスチックです。PSUの特性や特徴、医療機器部品の成形品について解説します。
PSUは、-100℃から175℃まで幅広い温度域で使用可能な樹脂です。荷重たわみ温度は174℃もあり、ガラスファイバー入りのグレードなら180℃でも機械的性質が安定しています。
酸やアルカリに対しても比較的に強い物性で、耐薬性もある樹脂です。ただし、有機溶媒には弱い傾向があります。また、加水分解のしにくい素材ですから、水や温水などによる劣化もしにくい樹脂でもあります。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
PSUの取り扱いを確認
酸・アルカリ・油には強いですが、有機溶媒に弱い点には注意が必要です。PSUは主に、機能性を重視する機器などに使われるケースが多くみられます。
| 耐酸性 | ○ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ○ |
| 有機溶剤 | △ |
参照元:株式会社KDA「PSU(ポリスルホン)樹脂物性表1」https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_psu2.htm
バランス良い機械的性質を持つ樹脂で、標準グレードの硬度はHB相当。ガラスファイバーなどで強化することも可能です。
| 比重 | 1.24-1.25 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | - |
| 破断時伸び(%) | 50-100 |
| 引張弾性率(MPa) | 2500 |
| 圧縮強度(MPa) | 276 |
| 曲げ強度(MPa) | 106 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | - |
| 硬度(ロックウェル) | M69 |
参照元:株式会社KDA「PSU(ポリスルホン)樹脂物性表1」https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_psu2.htm
連続耐熱温度は175℃。ガラスファイバーなどで、連続耐熱温度や荷重たわみ温度を高めたグレードもあります。
| 連続耐熱温度(℃) | 175 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 5.6 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 174 |
参照元:株式会社KDA「PSU(ポリスルホン)樹脂物性表1」https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_psu2.htm
PSUは衛生面でも優れた素材として、オートクレーブ減菌を繰り返す必要がある医療機器を中心に、さまざまな部品に活用されています。内視鏡送水用のタンクやキャップ、チューブサクションポート、心臓弁測定サイザー、歯科ハンドピースなどにPSUを利用することが多いようです。
PSUは成形温度の高い樹脂で、成形の難易度も高いプラスチックです。場合によってはPSU以外の樹脂素材で代替したほうがパフォーマンスを向上させられることもありますので、多くの樹脂を扱い信頼できる加工メーカーに依頼されることをおすすめします。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325