医療用プラスチックにおいて、アルカリ性物質に触れても影響を受けない耐アルカリ性は、重要な性質のひとつです。ここでは、耐アルカリ性の強い樹脂について、特徴や用途を紹介しています。樹脂選びの参考にしてください。
耐アルカリ性とは、アルカリ物質への曝露に耐えられる性質のことです。耐アルカリ性の高い樹脂は、アルカリ性物質によって引き起こされる化学反応に抵抗できます。医療用プラスチックでは、アルカリ性の薬品に一定時間浸しても溶解や変形などしない性質の樹脂を選ぶことが大切です。アルカリ耐性材料の中には、耐性を高めるコーティングや添加剤が含まれていることもあります。
1965年にUCCが開発したスーパーエンプラです。3種類の異なる官能基(イソプロピリデン基,エーテル基,スルホニル基)を介して結合したフェニレン基から構成されています。
連続耐熱温度が175℃と耐熱性に優れた性質があります。-100℃から175℃と使用温度の幅が広く、使用環境を問いません。アルカリ性に強いだけではなく、酸にも油にも強いです。さまざまな薬品に対する耐性にすぐれた樹脂といえます。ただし、有機溶媒には弱いのがデメリットです。
耐酸性・耐アルカリ性・熱安定性があることから、長時間の高温域での使用に耐えられます。また、過熱水蒸気や耐沸水性に優れているという性質も兼ね備えた樹脂です。医療用としては、各種トレイ、外科医用・歯科用医療器具、人工腎臓などの人工臓器、各種配管器具及び人工腎臓の中空糸などに使用されています。
透明琥珀色をした剛性のある強靱な非晶性熱可塑性樹脂です。高温蒸気による滅菌の実用試験を1000回以上行っても、クレージングや破壊などが発生しません。高い強度をもつエンプラのひとつ。構成分子中にスルホニル基(-SO2-)を含み、スルホニル基の立体化学構造が、結晶化を阻害するため、透明です。
透明樹脂の中で最高の耐熱・耐薬品・強度を持っています。きわめて強い耐加水分解性をもっています。鋭いノッチによる衝撃試験でも、耐衝撃性はほとんど劣化しません。PC(ポリカーボネート)と似た耐衝撃性をもっています。高温環境でも耐衝撃性は失われにくく、たわみも発生しません。耐アルカリ性や耐酸性といった耐薬品性も良好です。紫外線や濃酸、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族系溶媒に弱い性質があります。
透明で耐熱・耐薬品性に優れていることや強い衝撃を受けても破断しない性質から、医療現場でよく使用されています。具体的な用途としては、滅菌用コンテナやコネクタ類、内視鏡部品、メスの取っ手などです。
耐アルカリ性は、医療用プラスチックに重要な性質のひとつです。アルカリ性に強い性質のプラスチックには、ポリスルフォン(PSU)やポリフェニルスルフォン(PPSU)などがあります。用途に適した材料を選びましょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325