蒸留水や薬液など多くの液体を扱う医療機関では、フロートも重要な医療部品のひとつです。
ここでは、医療機器に使われるプラスチック樹脂のフロートの加工について解説します。
液面水位の制御など液体の管理に使用するフロートの多くは、樹脂加工で作られています。タンク内の液体の高さを測定するフロートスイッチ(レベルスイッチ)の場合、フロート部分にセンサーが仕込まれており、一定の推移になればアラートを発して知らせてくれるというアイテムもあるようです。
フロートは長時間液体に接するものですから、薬液にあわせて樹脂素材を選ぶことも大切なポイントです。
樹脂製フロートの製造は、主に射出成形や切削でつくられることが多いです。
射出成形は、作りたい形状の金型に熱で溶かした樹脂を流し込むことで成形する方法。複雑な形状や量産したい場合に適した加工法で、精密なフロートでも比較的に容易に製造できます。なお金型製作の手間やコストがかかるため、納期や予算に余裕をみておく必要があるでしょう。
これに対して切削は、専用工具で樹脂の塊を削りながら成形する加工法です。金型などを作る手間やコストも不要で、小ロットの部品を作る場合に適しています。精度や表面の粗さなども自由に調整できますが、切削する際に生じる切りくずなどにより歩留まりが悪くなる場合があります。
フロートをはじめ医療機器に用いられるプラスチック部品には、形状や仕様が複雑なものも多くなっています。加工メーカーの選定時には、加工法についても確認することが大切です。難度の高い要求に応えられる加工メーカーに依頼することで、精度の高いものでも適正コストで作ることが可能になります。
薬液内でフロートを使用する場合は、樹脂素材の耐薬性をチェックするのがポイントのひとつです。
また、「嵌合性の高さ」もポイントです。嵌合性が高いほど、蓋が外れにくく液漏れリスクを軽減できます。プラスチック加工を依頼する際には、これらの点に注意しましょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325