POMとは、ポリアセタールまたはポリオキシメチレンとよばれる樹脂のことです。POMの特徴や物性を中心に、医療機器部品として成形される事例などを紹介します。
エンジニアリングプラスチックのなかでも、耐摩耗性と耐疲労性に優れた素材のひとつです。繰り返し動作が多く疲労によって破損しやすい部品や、長く利用したい製品などに適しています。また摺動性も良いことから、軸受けにも向いています。
衝撃に対する強さもPOMの特徴です。結晶部と非晶部が混在した構造となっており、耐久性に優れています。曲げにも強い剛性もあります。ただし、耐候性は弱く日光があたる場所での使用は向きません。
医療機器プラスチック部品製造会社3選の
POMの取り扱いを確認
強酸には侵されるものの、アルカリや有機溶剤への耐性があります。耐溶剤性に優れた樹脂です。
| 耐酸性 | △ |
|---|---|
| 耐アルカリ性 | ○ |
| 有機溶剤 | ○ |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
エンプラのなかでは圧縮強度と曲げ強度が高く、耐久性の優れた樹脂といえます。また吸水性が小さい樹脂ですから、寸法安定性がよい点も特徴です。
| 比重 | 1.14 |
|---|---|
| 引張強度(kgf/cm2) | 620 |
| 破断時伸び(%) | 40 |
| 引張弾性率(MPa) | 35 |
| 圧縮強度(MPa) | 1050 |
| 曲げ強度(MPa) | 910 |
| 曲げ弾性率(kgf/cm2) | 26.4 |
| 硬度(ロックウェル) | 119 |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
連続耐熱温度は100℃前後ですが、短時間であれば約150℃まで耐えられるグレードもあるようです。選定する際にはグレードにも着目しましょう。
| 連続耐熱温度(℃) | 95 |
|---|---|
| 熱膨張率(×0-5) | 9 |
| 荷重たわみ温度(℃) | 110 |
参考:株式会社ハンシン「樹脂素材物性表」(PDF)https://www.kk-hanshin.co.jp/contents/pdf/jushi.pdf
POMには、医療用に適したグレードも用意されています。主に、関節の置換手術に使うサイジング用テストピースなど手術器具に活用されることが多いようです。
医療用のPOMは、洗浄剤や消毒剤といった溶剤への耐性があるほか、オートクレーブ(高温蒸気滅菌処理)にも対応している点も特徴です。
医療機器や用具に使われるプラスチックは、多様な種類があります。そのなかからニーズに適した素材を選定し、高品質な成形品をつくるなら、素材に詳しく確かな加工技術を有すプラスチック加工メーカーに依頼することも大切なポイントでしょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325