医療用プラスチックに求められる性質の一つに耐衝撃性があります。ここでは、耐衝撃性とはどのような性質のことを指すのか、耐衝撃性に優れた医療用プラスチックにはどのような種類があるのか、その使用例などをまとめました。
耐衝撃性とは、物体が衝撃力を受けた場合に、どれくらいまで耐えられるかという材料の強さを示すものです。耐衝撃性は、医療用プラスチック製品に多く使用されている熱可塑性樹脂においても、重要な性質の一つと言えます。
耐衝撃性の測定は、アイゾット衝撃試験方法が一般的です。一定寸法の試験片を固定し、振り子式ハンマーで試験片を破壊し、破壊するのに要したエネルギーの大きさ(衝撃強さ)を目盛板の指針を読むことで測定します。
代表的なエンジニアプラスチックです。耐衝撃性に優れているのが特徴。一般的なガラスの250倍以上と言われています。この高い耐衝撃性を活かして、強化プラスチックとして使用されています。
透明なため光学分野など幅広い分野で使用されています。耐熱性は120℃と高く、耐衝撃性に優れていることから、防弾ガラスや航空機器にも使用されています。自己消火性にも優れています。
医療においても人工透析器のケースや血液回路の部品等に使用されています。人工透析器では、衝撃の強さや熱に強いこと、透明であることを活かして、ケースやキャップに採用。輸液チューブジョイントでは、耐衝撃性はもちろん、透明で変形しにくいことを活かし、ジョイント部分に使用されています。また、医療用吸引器の外装や内臓筒部分、計量カップにも使われています。
ABS樹脂とはアクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene) 共重合成樹脂の総称です。原料の頭文字を取ってABS樹脂と呼ばれています。プラスチックの強度や耐熱性を改善するために開発された素材です。
AS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂)の中にゴム成分であるブタジエンが均一に分布された構造です。力学的エネルギーを吸収することから、耐衝撃性はポリスチレンの約40倍とも言われています。
耐熱性においても、AS樹脂がブタジエンの分散状態を固定しており、加熱時でもその安定性を維持できることから、ポリスチレンや塩化ビニルより優れています。
耐衝撃性・耐熱性の他、剛性や硬度、機械加工性、曲げ疲労性など機械的特性にすぐれており、アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)の配合比率でそれぞれの特徴を強調できるという性質があります。外観にも優れており、電化製品の筐体にも採用されています。医療用では電子体温計や心臓カテーテルコネクターなどに使われています。
耐衝撃性は、医療用プラスチックに必要な要素です。耐衝撃性にすぐれた医療用プラスチックとして、ポリカーボネート(PC)とABS樹脂があります。特徴にあわせて、ジョイント部分やケース、筐体などで採用されています。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325