ネブライザーとは、薬液をエアロゾルと呼ばれる微細な霧状の粒子にし、呼吸とともに吸入する「吸入療法」で用いられる医療機器のことです。薬を飲み込むのが難しい乳幼児や高齢者の方々にとって、無理なく服薬できるようサポートする大切な役割を担っています。衛生面の確保や軽量化、量産によるコストダウンといった目的から、ネブライザーを構成する部品の多くにはプラスチック樹脂が採用されています。
ネブライザーは単一のパーツではなく、それぞれ役割の異なる複数のプラスチック部品が組み合わされてできています。そのため、製造にあたっては「どのパーツをどのような仕様で作るか」という全体設計が非常に重要です。主に、エアロゾル発生源やリザーバ、バッフルなどの部品から構成されています。
処方された液状の薬剤を入れる容器です。薬液の残量が一目でわかるように、透明性の高い樹脂が使用されています。
圧縮空気などを用いて、液体を微細な粒子に変換するネブライザーの心臓部。主にコンプレッサー式(ジェット式)の薬液ボトル内部に設置され、薬液のエアロゾル化を促進・調整する役割を担います。とくに高い寸法精度が求められる部品です。
ミスト状になった薬剤を口から吸入するための吸い口。患者さんの口や鼻に直接触れるインターフェース部分となるため、肌への優しさやフィット感が重視されます。
コンプレッサー(本体)からの空気を送るチューブをつなぐ接合部です。空気漏れをしっかり防ぐための、確実な嵌合(かんごう)が求められます。
ネブライザーは、薬液や人体の粘膜に直接触れる医療機器であるため、安全基準(生体適合性)や耐薬品性を満たす樹脂選びが不可欠です。
耐薬品性に優れており、薬液ボトルや各種コネクタによく使用されます。軽量でコストパフォーマンスにも優れた素材です。医療機器に適用するため、専用設計と厳格な製品管理が求められます。
ガラスのような高い透明性と耐衝撃性を併せ持つため、内部の薬液や霧化の様子を確認したいチャンバー部分などに適しています。衝撃に強いため、医療用具のなかでも強度が求められる部品に採用されています。
ゴムのような弾力性を備えているため、患者さんの顔に密着させる吸入マスクや、気密性を高めるパッキンとして活躍します。医療分野では輸液パックやチューブなどにも広く採用されている素材です。
また、電子線やガンマ線などを用いた殺菌処置への耐性が高く、医療器具に適しています。
医療現場でのオートクレーブ(高温高圧滅菌)など、繰り返しの洗浄や消毒が前提となるハイエンドモデルの部品に採用されることの多い素材です。
ネブライザーの樹脂部品は、主に射出成形(インジェクション成形)によって製造されます。射出成形とは、加熱して溶かしたプラスチック樹脂を金型に注入し、冷やし固めて形を作る加工法のことです。
薬液カップやバッフルのような立体的で複雑な形状の部品を均一かつ大量に生産するのに適しています。一方、開発初期のプロトタイプの作成や、特殊な仕様での少数生産においては、樹脂ブロックから削り出す切削加工や3Dプリンターが用いられることもあります。
将来的な量産化を見据えて設計を進める場合は、試作段階から金型からスムーズに外せる形状かどうか(アンダーカットや抜き勾配)を確認しておくことが大切です。
こうしたポイントを事前に成形メーカーとしっかりとすり合わせておくことが、量産をスムーズに立ち上げるための鍵となります。
ここでは、ネブライザーのプラスチック部品の製造をメーカーに委託する際、設計・品質管理面で注意すべきポイントについて解説します。
ネブライザーの性能を左右するのは、薬液をいかに適切なサイズの粒子に変換できるかという点です。薬液を気管支や肺の奥までしっかりと届けるためには、1~5μmほどの非常に微細な粒子にする必要があります。
この役割を担う内部のバッフル構造やメッシュ穴の成形には、ミクロン単位での精密な金型設計と、厳密な成形条件のコントロールが欠かせません。わずかな寸法の狂いが粒子の粗さにつながり、本来の吸入効果を十分に得られなくなってしまうリスクがあるためです。
薬液カップや本体との接続部には、高い気密性が求められます。パーツ同士を組み合わせた際のクリアランス(隙間)の設計が甘いと、使用中の振動によって液漏れや空気の圧抜けが生じるおそれがあります。そのため、高度な金型設計技術を持つことはもちろん、必要に応じて樹脂同士を強力に接合させる「超音波溶着」などの二次加工技術にも対応できるメーカーを選ぶことが重要です。
呼吸器系に用いる機器であるため、製造工程における異物混入は厳禁です。医療機器産業に特化した品質マネジメントシステムの国際規格「ISO13485」を認証取得しているメーカーを選ぶことはもちろん、一定基準のクリーンルーム内で成形から組み立て、梱包まで一貫対応できるメーカーを選定することが大切です。そうしたメーカーに依頼することで、製品の安全性担保や薬事申請のスムーズ化にもつながるでしょう。
ネブライザーの樹脂部品は、主に「射出成形」によって製造されます。将来的な量産化を見据えて開発を進める場合は、試作の段階から金型で無理なく成形できる形状かどうかを確認しておくことが欠かせません。
以下のページでは、医療用プラスチック部品の製造実績がある加工・成形メーカーをご紹介しています。
安心して任せられる委託先選びの比較・検討に、ぜひあわせてお役立てください。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325