医療用プラスチックにおいては、透明性の高い材料が必要なこともあります。こちらの記事では、透明性に優れた主な樹脂について、特徴やどのような部分で用いられているのかを解説していきます。樹脂選びの参考にしてください。
透明性の高い樹脂は、光を表面で反射しないことに加え、内部でも吸収せずに裏面から出ていく光の割合が高いため、きれいに見渡すことができます。透明性を持つ樹脂の特徴としては、「透過性が高い」「耐候性に優れた製品が多い」「ガラスと比較して軽く衝撃に強い」といった点が挙げられます。
この透明性を持つ樹脂は、内部を見通す必要がある部分のカバー、照明器具、光学部品などに用いられています。
高い透明性とプラスチック素材の中でも、特に高い耐衝撃性を持っている樹脂です。アクリルと比較した場合、およそ50倍の耐衝撃性を持つとされています。
ポリカーボネートは、熱可塑性樹脂の一種であり、透明性が高く衝撃にも強い点を特徴として持つ樹脂素材です。「有機ガラス」と呼ばれることもあり、工業用途や一般用途としてさまざまな場面で用いられているため、私たちの生活にも身近な樹脂であるといえるでしょう。例えばパーテーションや水槽、カメラのレンズ、ヘッドランプなどにも用いられています。
ポリカーボネートは、医療業界においては計量カップや人工透析機(ケース・キャップ)、輸液チューブジョイント、医療用吸引器(外装および内蔵筒部分)などに用いられています。ポリカーボネートがこれらの製品に使用されている理由は、透明である点に加えて衝撃に強い点が挙げられます。
ガラスを超える透明度がアクリルの大きな特徴です。さらに高い強度を持っていること、接着剤を用いて貼り合せ加工を行ったり、曲げ加工を行ったりすることも可能です。
アクリルは耐候性にも優れているため屋外での使用もでき、野外の看板にも多く用いられている点や、もともと高い硬度を持っており、表面処理を行うとガラスに近い表面硬度に改質できる点も特徴のひとつといえます。
医療現場では、「骨セメント」と呼ばれるものが使用されています。これはポリメチルメタクリレート(PMMA)といわれるアクリル系高分子であり、人工膝関節など人工関節を周りの骨に接着固定する際に使用されます。PMMAは優れた生体適合性を持つことから、医療現場にて用いられています。
ポリスルフォンは、1965年に米国のユニオンカーバイト社により開発されたプラスチックです。非常に高い強度を持っている点が大きな特徴となっています。
やや褐色の透明色を持つポリスルフォンは、高い強度と剛性を持つプラスチックです。さらに耐熱性も高く、使用温度は-100℃〜175℃と非常に幅広いことに加えて、耐薬品性や耐加水分解性にも優れており、劣化しにくい点も特徴となっています。また、流体を扱う用途でも多く用いられており、加圧温水用途では真鍮部品の代替えとして用いられています。
ポリスルフォンは高い耐加水分解性や耐薬品性などの特性を活かし、医療分野で多く用いられています。具体的には、外科・歯科用医療器具、内視鏡部品、医療用トレイ、人工臓器など幅広く使用されています。
また、ポリスルフォンは溶液状態でも加工が可能であり、多孔性ファイバーを作ることが可能。この時、孔の大きさをコントロールしやすいため、さまざまなフィルターにも用いられています。
透明樹脂は、医療現場でもさまざまな場面で用いられています。透明性に優れた樹脂は、ポリカーボネート、アクリル、ポリスルフォンなどがありますので、用途に合った材料を選ぶようにしましょう。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325