ひとくちにプラスチックといっても多種多様な種類があり、それぞれの樹脂素材で特徴や物性が異なります。
ここでは、代表的なプラスチックの素材を「汎用プラスチック」「エンジニアリングプラスチック」「スーパーエンジニアリングプラスチック」の3つにカテゴライズし、どのような特徴や特性があるのかをみていきましょう。
汎用プラスチックとは、文字通り汎用品として広く活用されているプラスチックのことで、主に生活用品として使用される樹脂です。素材の加工性が良く、また量産性にも優れていることから、プラスチック生産量全体の約8割を占めるといわれます。
構造が比較的簡単で、引張強度や曲げ強度などの耐久性(機械的特性)はあまり優れておらず、耐熱性も約100℃までの樹脂が多くみられます。その一方で、コストを抑えられることから医療機器や用具などにも多用されています。
汎用プラスチックには、アクリル、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニールなどの種類があります。素材ごとの特徴や物性、医療機器部品の活用例などは、以下よりご覧ください。
ポリエチレンの特徴と物性、医療機器の成形部材として加工する場合
ポリプロピレンの特徴と物性、医療機器の成形部材として加工する場合
塩化ビニールの特徴と物性、医療機器の成形部材として加工する場合
エンジニアリングプラスチック(以下、エンプラ)とは、汎用プラスチックよりも耐久性(機械的特性)や耐熱性などに優れた樹脂素材のことです。厳密な基準はありませんが、連続耐熱温度が100~150℃のプラスチックが多くみられます。
エンプラが活用されるのは、工業製品がほとんどです。一般の方が扱うことは少ないため汎用プラスチックよりも生産量は少なく、また開発に手間のかかる素材もあることからコストはやや高い傾向があります。
エンプラには、ペット(PET)、MCナイロン、ポリカーポネート、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などの種類があります。素材ごとの特徴や物性、医療機器部品の活用例などは、以下よりご覧ください。
MCナイロンの特徴と物性、医療機器の成形部材として加工する場合
ポリカーポネートの特徴と物性、医療機器の成形部材として加工する場合
スーパーエンジニアリングプラスチック(以下、スーパーエンプラ)とは、「特殊エンプラ」ともよばれ、エンプラよりも耐久性(機械的特性)や耐熱性などが優れた樹脂素材のことです。これも厳密な基準はないものの、連続耐熱温度は150℃以上で高温環境でも長時間使用できるプラスチックが多くみられます。
引張強度や曲げ強度などの機械的特性に加え、酸・アルカリ・有機溶剤など薬品への耐性も優れており、様々な医療機器への活用が期待されています。
一方で、性能が高いことから素材のコストも高め。汎用プラスチックと比べて単価で100倍以上もするスーパーエンプラもあります。また、比較的に成形が難しい素材もあるため、プラスチック加工メーカーの選定も重要なポイントになってきます。
スーパーエンプラには、三フッ化、PPS、PEEK、PTFE、PSU、PEI、PESU、PBIなどの種類があります。素材ごとの特徴や物性、医療機器部品の活用例などは、以下よりご確認いただけます。
医療機器用のプラスチック部品製造に対応している製造会社から、製品開発でよくあるニーズ「品質」「スピード」「量産体制」でそれぞれおすすめの製造会社をピックアップ。対応できる樹脂が多かった順(※1)に並べて紹介します。
【選定基準】
Googleにて「医療機器 プラスチック部品」と検索した際の上位20社中、対応樹脂が明記されていた下記の3社を選定。(2021.11.11時点)
・若林精機工業:調査した20社の中で、製品の品質を称える賞の受賞歴があり、 2大品質表示ISO9001、14001を唯一どちらも取得している企業
・ミヤザキ:調査した中では短納期NO1
・南デザイン:調査した中では唯一ロット数が明確で多かった
(※1)樹脂数は樹脂名が記載されている数を採用しています
(※2)参照元:大阪府HPhttps://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42325